この差は走り方と車種でほぼ決まっていて、自分の数字を1回計算しておけば、以後は暗算で判断できるようになります。

計算式は2行

必要な情報は2つだけです。年間走行距離と、実燃費。

計算式

① 年間給油量(L) = 年間走行距離(km) ÷ 実燃費(km/L)

② 年間差額(円) = 年間給油量(L) × 単価の変動幅(円/L)

例えば年間12,000km・実燃費13km/Lなら、12,000 ÷ 13 = 約923L。単価が10円上がれば年9,230円、月あたり約770円の増加です。

参考までに、レギュラーガソリンの全国平均小売価格は170.1円/L(資源エネルギー庁「給油所小売価格調査」2026年7月27日調査時点)です。この水準で10円といえば、約6%の変動幅にあたります。

早見表:単価が10円/L変わったときの年間差額

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年間走行距離実燃費10km/L実燃費15km/L実燃費20km/L
5,000km5,000円約3,330円2,500円
10,000km10,000円約6,670円5,000円
15,000km15,000円10,000円7,500円

年間給油量そのものは次のとおりです。

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年間走行距離実燃費10km/L実燃費15km/L実燃費20km/L
5,000km500L約333L250L
10,000km1,000L約667L500L
15,000km1,500L1,000L750L

表の読み方はシンプルです。単価変動が20円なら表の数字を2倍、5円なら半分にしてください。年間給油量さえ分かっていれば、そこに変動幅を掛けるだけです。

そして表全体を眺めると分かるのは、単価そのものより走行距離と燃費のほうが金額を大きく動かしていることです。年間5,000km・20km/Lの人と、年間15,000km・10km/Lの人では、同じ10円の変動に対する影響が6倍違います。

使うべきはカタログ燃費ではなく実燃費

上の計算の精度は、実燃費の精度で決まります。カタログのWLTCモード燃費をそのまま入れると、実際より小さい金額が出ます。

実燃費は「満タン法」で測れます。

  1. 給油口いっぱいまで入れて、トリップメーターを0にする
  2. 次の給油でまた満タンにする。そのときの給油量(L)を記録する
  3. トリップメーターの走行距離 ÷ 給油量 = 実燃費

1回の測定では給油機の止まり方や走行条件でぶれるので、3〜5回分の合計距離を合計給油量で割ると安定します。

注記

※車載の燃費計は実測値とずれることがあるため、金額を計算する用途では満タン法の値を使うことをおすすめします。

年間走行距離のほうは、車検証(自動車検査証)の記載や、点検記録簿の走行距離から2年分の差を取れば分かります。

「安いスタンドまで10km走る」は得か

実務でよく迷う話です。数字にすると答えは明確に出ます。

前提

  • 遠くのスタンドまで片道10km(往復20km)
  • 実燃費15km/L、ガソリン単価170.1円/L
  • 1回の給油量40L

移動にかかるコスト
20km ÷ 15km/L = 約1.33L
1.33L × 170.1円 = 約227円

必要な単価差
227円 ÷ 40L = 約5.7円/L

つまり、往復20kmの寄り道をして40L入れる場合、リッターあたり5.7円以上安くなければ元が取れません

給油量が減るほど条件は厳しくなります。同じ往復20kmでも、

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1回の給油量損益分岐となる単価差
30L約7.6円/L
40L約5.7円/L
50L約4.5円/L

一般化するとこうなります。

計算式

損益分岐の単価差(円/L) = 往復距離(km) ÷ 実燃費(km/L) × ガソリン単価(円/L) ÷ 給油量(L)

しかもこの計算には、往復にかかる時間と車の消耗が入っていません。20kmの寄り道を30分と見るなら、227円の燃料代に加えてその30分の価値も乗ります。

逆に言えば、通勤や買い物の経路上にある安いスタンドなら移動コストはゼロなので、1円の差でもそのまま得になります。「安い店を探す」より「日常の動線上で安い店を1つ決めておく」ほうが、労力あたりの効果は大きいという結論になります。

単価変動より効くレバー

年間給油量が分かると、他の選択肢の効き目も同じ物差しで比べられます。

実燃費を1km/L改善する
年間10,000kmで実燃費15km/L → 16km/Lになった場合、年間給油量は667L → 625Lで42L減。170.1円/Lなら年約7,100円です。単価10円の変動(年6,670円)とほぼ同じ規模になります。急加速・急減速を控える、タイヤの空気圧を適正に保つ、不要な荷物を降ろすといった運転側の要素は、ここに効いてきます。

年間走行距離を1,000km減らす
同じ条件で67L減、年約11,300円。近距離の移動を1つ別の手段に置き換えるだけで、単価変動より大きく動くことがあります。

いずれも「年間給油量 × 単価」という同じ式の上に乗っているので、比較が可能です。単価のニュースに反応する前に、自分の年間給油量を1回出しておくと、判断の軸ができます。

まとめ

  • 年間差額 = 年間走行距離 ÷ 実燃費 × 単価変動幅。式はこれだけ
  • 年間10,000km・実燃費15km/Lなら、単価10円の変動で年約6,700円(月約560円)
  • 影響の大きさは走行距離と燃費で6倍以上変わる。他人の金額は自分の金額ではない
  • 実燃費は満タン法で3〜5回分をまとめて計算すると安定する
  • 往復20kmの寄り道で40L給油するなら、5.7円/L以上安くなければ損。経路上の店を1つ決めるほうが効率的

給油のたびに日付・金額・走行距離を記録しておくと、実燃費も年間給油量も後から自動的に出せます。

出典

  1. 資源エネルギー庁「石油製品価格調査(給油所小売価格調査)」