あなたの車の修理費がいくらになるかの判断はしません。部品・壊れ方・車種で大きく変わり、決めるのは見積りを出す整備工場です。また、運転支援の機能の良し悪しや、特定の車種・メーカーの評価もしません。
ドライバーモニタリングシステム(DMS)の義務化はいつから?
国土交通省は2026年9月30日、道路運送車両の保安基準を改正し、眠気警報装置・脇見警報装置(いわゆるドライバーモニタリングシステム、DMS)を自動車に備えるよう義務付けると発表しました。2026年3月に国連の会議(WP.29)で国際基準が決まり、その発効に合わせて国内の基準に取り入れたものです。
中身は、カメラなどで運転している人の様子を見て、眠気や脇見に気づいたら警報音などで知らせる装置です。国土交通省の資料では、作動の条件が次のように決められています。
- 眠気:時速70〜130kmの範囲で作動し、眠気が一定の水準に達したら警報する
- 脇見:時速50km以上で手元を3.5秒見続けたとき、時速20km超〜50km未満で6秒見続けたときに警報する
対象は四輪の自動車で、二輪・三輪や被牽引車などは除かれます。軽自動車も対象です。いつから付くかは次のとおりです。
| 区分 | 付けなければならない時期 |
|---|---|
| 新型車 | 2031年9月から |
| 継続生産車 | 2033年9月から |
出典:国土交通省 報道発表(2026年9月30日)。新型車=その時期以降に新しく型式の指定を受けるモデル、継続生産車=それより前から作り続けているモデル。
後付けは必要?いま乗っている車はどうなるのか
発表資料が適用時期を定めているのは、新型車と継続生産車だけです。すでに走っている車に後から付けるよう求める記載はありません。
SNSでは「10年乗ったら、義務の運転支援の修理代が三桁万円に」という不安が広がりました。今回の装置について言えば、それは2031年以降に作られる車を、2040年代まで乗った場合の話です。いまの車の車検が、DMSのせいで通らなくなるわけではありません。
国産の乗用車の時期。輸入車は、自動ブレーキが新型車2024年7月・継続生産車2026年7月、OBD検査が2025年10月から。軽トラックの自動ブレーキ(継続生産車)は2027年9月。出典:国土交通省の各報道発表・OBD検査のページ。
すでに始まっている:車検の「OBD検査」とは
いまの車に関係があるのは、こちらです。2024年10月1日(輸入車は2025年10月1日)から、車検に電子装置の検査(OBD検査)が加わりました。検査用の機器を車につないで、運転支援などの装置に故障の記録が残っていないかを調べます。
国土交通省は、OBD検査で不合格だった場合は「修理をしなければ車検に通りません」としています。運転支援の故障が、車検に通るかどうかに直接かかわるようになった、ということです。
OBD検査の対象車と、対象外の車
- 2021年10月1日(輸入車は2022年10月1日)以降にフルモデルチェンジした車
- 対象の車は、車検証に「OBD検査対象」と書かれている
- 書かれていても、型式の指定から2年、かつ最初の登録から10か月がたつまでは対象にならない
自分の車が対象かどうかは、車検証の記載を見るのがいちばん確実です。それより古い型式の車は、OBD検査の対象ではありません。
検査の対象になる装置
| 法令上の名前 | 身近な呼び方 |
|---|---|
| 衝突被害軽減制動制御装置 | 自動ブレーキ |
| かじ取装置(運行補助機能) | 車線維持の支援など |
| 緊急制動時の制動力増加装置 | ブレーキアシスト |
| ABS | 急ブレーキ時のロック防止 |
| 横滑り防止装置 | 横滑りを抑える機能 |
| 車両接近通報装置 | HV・EVの接近音 |
| 発散防止装置 | 排ガス関係 |
| 自動運行装置 | 自動運転の機能 |
出典:国土交通省「OBD検査に関する法令・通達」(細目告示 別添124)、同「OBD検査とは(ユーザー向け)」。
検査の機器は、運転席の下などにある差し込み口(データリンクコネクタ)につなぎます。国土交通省は、この差し込み口にドライブレコーダーなどの機器をつないでいる場合は、車検の前に外すよう案内しています。分からない場合は、取り付けた業者に確認してください。
運転支援の修理費とエーミング費用の目安
先に正直に書くと、運転支援の修理費に公的な相場表はありません。国土交通省のページも「料金については、車検を受ける整備工場にご確認ください」としています。確かな出典で言えるのは次の範囲です。
- カメラやレーダーの向きを合わせる調整(エーミング):1か所につき1〜2万円程度(損保ジャパン)
- フロントガラスの交換:5万〜25万円程度。運転支援のカメラが付いた車では、交換後にエーミングが必要(同)
※金額は損保ジャパンの記事(2026年10月確認)に掲載された目安です。車種・調整する部品・依頼先によって異なります。
ぶつけていなくても、調整の費用がかかる場面
2020年4月に始まった「特定整備」の制度で、自動ブレーキや車線維持の支援に使う前方のカメラ・レーダーの取り外しや調整は、国の認証を受けた工場の作業になりました。国土交通省の資料は、カメラやレーダーが付いているバンパー・グリル・窓ガラスを外すことも対象にしています。理由は「その後、カメラ等の機能調整が必要となるため」です。
つまり、飛び石でフロントガラスを替える、こすったバンパーを替える、といった修理でも、運転支援の調整代がセットで乗ることがあります。見積りが思ったより高いときは、ここが入っているかを見てください。
「三桁万円」になることはあるのか
運転支援の部品の修理だけで100万円を超えることを示す公的なデータは、今回の調査では見つかりませんでした。高額になりうるのは、カメラやレーダーそのものを交換する場合や、事故で車体の前側をまとめて直す場合です。
見積りを比べるときは、次の3つを分けて出してもらうと判断しやすくなります。
- どの部品を交換するのか(調整だけで済むのか)
- エーミングの費用が含まれているか、何か所分か
- 部品代と工賃の内訳
10年乗るなら、いまからしておくこと
- 車検証で「OBD検査対象」の記載を確かめる。対象なら、運転支援の故障は車検に通るかどうかにかかわります。
- 運転支援の警告灯が点いたら、車検を待たずに点検に出す。故障の記録が残っていると車検で不合格になり、修理しないと通りません。車検の直前に分かると、日程にも費用にも余裕がなくなります。
- ガラスやバンパーの修理は、認証を受けた工場で、エーミング込みの見積りを取る。工場には認証を示す看板が掲げられています。
- 修理と点検の記録を残しておく。いつ・どこで・何を・いくらで直したかが手元にあれば、次の見積りを比べる基準になり、手放すときの説明にも使えます。
まとめ
- 今回の義務化は眠気・脇見の警報装置(DMS)。新型車は2031年9月、継続生産車は2033年9月から
- すでに走っている車に後から付けるよう求める記載はない。いまの車の車検がDMSで通らなくなることはない
- いまの車に関係するのは、2024年10月に始まったOBD検査。対象の車は、運転支援の故障の記録があると修理しないと車検に通らない
- 対象かどうかは車検証の「OBD検査対象」の記載で分かる
- 修理費の公的な相場はない。エーミングは1か所1〜2万円程度、フロントガラス交換は5万〜25万円程度が目安
修理や点検の記録を残しておくと、次の見積りが高いか安いかを、自分の数字で判断できるようになります。
