乗り換えのときも同じ話が効きます。等級は引き継がれますが、車に付いている条件は新しい車のものに置き換わります。さらに契約期間の途中で替えた場合は、残りの期間ぶんの差額精算が別に発生します。この記事は、機構が公表している数字で「何がいくら効くのか」を分解します。

この記事が扱わないこと

個別の見積の診断はしません。等級・型式・年齢・補償内容が分からなければ金額は出せませんし、実際の保険料は各保険会社が決めています。ここで示すのは、どこを見れば差の出どころが分かるかという物差しだけです。

事故のあとに保険を「使うか使わないか」の損得計算は 車の保険、修理費いくらから使うべきか|等級ダウンとの損得計算 で扱っています。

前提:参考純率と、実際の保険料は別物

損害保険料率算出機構(損保料率機構)は、損害保険料率算出団体に関する法律に基づく非営利の法人で、会員である損害保険会社に「参考純率」を提供しています。

同機構の説明はこうです。保険料率は純保険料率(保険金に充てられる部分)と付加保険料率(保険会社の経費等に充てられる部分)でできており、機構が算出しているのは前者の参考値だけ。付加保険料率は機構では算出しておらず、各保険会社が決めています。

損害保険料率算出機構「参考純率とは」

当機構の会員となっている保険会社では、参考純率をそのまま使用することができる一方、自社の商品設計等に応じて修正して使用することもできます(参考純率は使用義務のない参考数値であるため、これを用いずに保険会社独自に純保険料率を算出することもできます)。

つまりこの記事に出てくる数字は、保険料そのものではなく、業界共通の土台となる参考値です。以下すべてこの前提で読んでください。

保険料は区分の積み重ねでできている

参考純率には7つの料率区分があります(『自動車保険の概況 2025年度版』)。

  1. 自動車の種類 — 用途・車種
  2. 付保台数 — ノンフリート/フリート
  3. 自動車の型式 — 型式別料率クラス(補完として 3-1 衝突被害軽減ブレーキの装着の有無/3-2 初度登録(検査)後の経過期間)
  4. 支払限度額など — 保険金額・免責金額
  5. 運転者の年齢 — 年齢条件
  6. 過去の事故歴 — ノンフリート等級
  7. 運転者の範囲 — 運転者限定

同機構は区分ごとに「較差」(最も安い側と最も高い側で何倍か)を公表しています。等級の話だけをしていると見落とすものが、この一覧で見えます。

図1/参考純率における料率区分ごとの較差(横棒は「1倍」を起点にした超過分)
自動車保険の料率区分ごとの較差 損害保険料率算出機構が公表している料率区分ごとの較差は、ノンフリート等級(1〜20等級)が約5.62倍、型式別料率クラスの自家用普通・小型乗用車(1〜17クラス)が約4.30倍、運転者の年齢範囲(3区分)が約3.00倍、型式別料率クラスの軽四輪乗用車(1〜7クラス)が約1.73倍、記名被保険者の年齢層(8区分)が約1.44倍、同じ20等級での無事故と事故有の差が約1.32倍、衝突被害軽減ブレーキの装着の有無が約1.10倍、初度登録(検査)後の経過期間(3区分)が約1.10倍、運転者限定が約1.04倍。 ノンフリート等級(1〜20等級) 約5.62倍 型式別料率クラス(普通・小型) 約4.30倍 運転者の年齢範囲(3区分) 約3.00倍 型式別料率クラス(軽四輪) 約1.73倍 記名被保険者の年齢層(8区分) 約1.44倍 無事故/事故有(20等級) 約1.32倍 衝突被害軽減ブレーキの装着 約1.10倍 初度登録後の経過期間(3区分) 約1.10倍 運転者限定(本人・配偶者) 約1.04倍 1倍 2倍 3倍 4倍 5倍

損害保険料率算出機構『自動車保険の概況 2025年度版』(2026年4月発行)の公表値。較差は補償内容ごとに設定されており、記名被保険者の年齢層・初度登録(検査)後の経過期間・運転者限定は対人賠償責任保険の場合の値です。これらを掛け合わせた数字が実際の保険料差になるわけではありません。棒の長さは「1倍」からの超過分を、最大値の約5.62倍が右端になるように取ったものです。

読み方はこうです。等級の次に効くのは、車そのもの(型式別料率クラス)です。自家用普通・小型乗用車では約4.30倍で、等級の約5.62倍に迫ります。

経路1:参考純率の改定

損保料率機構は2026年6月23日、参考純率の変更にかかる届出を金融庁長官に行いました。平均14.4%の引上げで、2027年1月以降に保険始期を有する契約を想定した水準です。前回(2024年6月24日届出)は平均5.7%でしたから、幅は大きく変わっています。

代表的な契約例の改定率は次のとおりです。

用途・車種車両保険あり車両保険なし
自家用普通乗用車・自家用小型乗用車+17.2%+16.4%
自家用軽四輪乗用車+17.5%+15.8%

「車両保険あり」=対人賠償責任保険・対物賠償責任保険・人身傷害保険・車両保険のセット契約、「車両保険なし」=そこから車両保険を除いたセット契約。契約条件は記名被保険者45歳・26歳以上補償・20等級(無事故係数適用)・運転者限定なし・沖縄県以外など。契約者が実際に支払う保険料の改定内容は保険会社ごとに異なります。

車両保険を付けているほうが改定率は大きくなっています(普通・小型で17.2%対16.4%、軽で17.5%対15.8%)。これは次に見る理由と直結しています。

審査の状況(2026年8月22日時点)

この届出は、損害保険料率算出団体に関する法律に基づく金融庁の適合性審査を受けます。機構ウェブサイトの当該ページは現時点で「参考純率届出のご案内」のままで、審査終了の告知は確認できていません(2024年6月の回は、審査終了後に表題が「改定のご案内」へ変わっています)。

なぜ上げる必要があるのか

機構の説明は明快です。事故は減っている。しかし1件あたりが高くなっている。

損害保険料率算出機構「参考純率届出のご案内」

事故率は、新型コロナ以降に交通量が回復したことに伴う増加が見られましたが、足元ではこれがいったん落ち着き、AEB(衝突被害軽減ブレーキ)等の先進安全技術の普及を背景に緩やかに減少しています。

他方、対物賠償責任保険および車両保険における1件あたりの支払保険金(保険金単価)は年々上昇してきており、事故率の減少を上回る結果となっています。

図2/1件あたり修理費の推移(例:対物賠償責任保険・単位 千円)
対物賠償責任保険の1件あたり修理費の費目別推移 対物賠償責任保険における1件あたり修理費は、2022年度が合計336千円(部品費155・工賃64・塗装費53・間接損害63)、2023年度が合計358千円で前年比プラス6.7パーセント(部品費163・工賃68・塗装費56・間接損害72)、2024年度が合計386千円で前年比プラス7.6パーセント(部品費174・工賃73・塗装費60・間接損害79)。2022年度から2024年度で合計は約14.9パーセント増えた。 400 300 200 100 0 155 64 53 63 336 163 68 56 72 358 +6.7% 174 73 60 79 386 +7.6% 2022年度 2023年度 2024年度 部品費 工賃 塗装費 間接損害

損害保険料率算出機構「【自動車保険】参考純率届出のご案内」(2026年6月23日)図2。合計と前年比は同資料の表示値。内訳の単純合計は2022年度335・2023年度359で、表示の合計(336・358)と1ずつずれます。各値が丸められているためで、ここでは機構の表示値をそのまま採っています。

検算

336 → 358 が+6.7%、358 → 386 が+7.6%(いずれも機構の表示)。1.067 × 1.076 = 1.1481 で、386 ÷ 336 = 1.1488 とほぼ一致します。2年で約14.9%。参考純率の引上げ幅(平均14.4%)と近い桁です。

費目ごとの伸び(2022→2024年度)は、部品費 174÷155=+12.3%、工賃 73÷64=+14.1%、塗装費 60÷53=+13.2%、間接損害 79÷63=+25.4%。伸びが最も大きいのは代車料などの間接損害です。

要因の内訳と影響度合い(寄与率・対物賠償責任保険の例)は、機構によれば次のとおりです。

  • 物価上昇・高性能部品の普及等 … 35%程度
  • 工賃単価の上昇 … 40%程度
  • その他(代車料等) … 25%程度

つまり保険料を押し上げているのは事故の増加ではなく、修理そのものの値段です。

部品別に見ると、伸びているのは工賃

機構は部品別の修理費見積りの直近動向(2025年3月→2026年3月)も公表しています。

部品部品費工賃
ヘッドランプユニット(左)+17%+11%
バックドアパネル+7%+13%
フロントバンパ+10%+16%
リヤバンパ+6%+16%
ラジエータグリル+8%+16%

実額(部品費・工賃の順に 2025年3月→2026年3月):ヘッドランプユニット(左)70→81千円・3→4千円/バックドアパネル 55→59千円・14→16千円/フロントバンパ 53→58千円・11→13千円/リヤバンパ 47→50千円・6→7千円/ラジエータグリル 27→29千円・2.6→3.0千円。出所はコグニビジョン社「cogniSEVEN+」の対物賠償責任保険の修理見積りデータを機構が集計したもの。

5部品のうち4部品で、工賃の伸びが部品費の伸びを上回っています(工賃+13〜16%に対し部品費+6〜10%)。唯一の例外がヘッドランプユニットで、こちらは部品費+17%が工賃+11%を上回りました。ランプ類は高性能化が進んでいる部品なので、機構が挙げる「高性能部品の普及による部品の高額化」と符合します。

経路2:型式別料率クラスの毎年見直し

ここが「等級の話だけ」では絶対に出てこない部分です。

型式別料率クラスは、自家用普通・小型乗用車が1〜17の17クラス、軽四輪乗用車が1〜7の7クラス。クラスは補償内容ごと(対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両保険)に設定されます。

そしてクラスは毎年1月に見直されます

損害保険料率算出機構『自動車保険の概況 2025年度版』

毎年、型式ごとのリスクが現在位置づけられているクラスに見合っているかを検証しています。その結果、リスクがクラスに見合っていない型式について、リスクが低ければクラスを下げ、高ければクラスを上げる見直しを行います。このため、クラスが上がる型式の契約者は、ご自身は事故を起こしていなくても保険料が高くなるケースがあります。

クラス1つ分の重みも公表されています。

用途・車種クラス数較差
自家用普通・小型乗用車1〜17約4.30倍
軽四輪乗用車1〜7約1.73倍

「較差」は最も低いクラスと最も高いクラスの保険料率の差。クラス1つ分の較差はどちらも√1.2倍(約1.1倍)で、クラスが1つ上がると√1.2倍、1つ下がると1/√1.2倍(約0.9倍)になります。

検算

クラス1つで√1.2倍なら、17クラス(=16段)で 1.2の8乗 = 4.2998。公表の「約4.30倍」と一致します。
7クラス(=6段)なら 1.2の3乗 = 1.728 で「約1.73倍」と一致します。

軽自動車を持っている人には、もう1つ効いた変更があります。軽四輪乗用車への型式別料率クラス制度の導入は2020年1月1日で、当初は3クラスでした。機構は2025年1月1日以降、これを3クラスから7クラスに拡大しています。最大と最小の較差は約1.20倍から約1.73倍へ広がりました。

なお新しく発売された型式は保険データが無いため、自家用普通・小型乗用車は排気量や新車価格などに基づきクラスを決定し、軽四輪乗用車は一律クラス4が適用されます。

自分の車のクラスは、機構の型式別料率クラス検索で調べられます。同じ画面で、その型式が「発売後約3年以内」(=衝突被害軽減ブレーキの装着有無に応じた保険料係数の対象)かどうかも確認できます。

経路3:自分の区分が時間で動く

事故がなくても、時間が経つだけで区分をまたぐことがあります。

初度登録(検査)後の経過期間

区分位置づけ
25か月以内リスクが低い(保険料が安い)
25か月超49か月以内
49か月超リスクが高い(保険料が高い)

較差は約1.10倍(自家用普通・小型乗用車の対人賠償責任保険の場合)。設定される補償は用途・車種で異なり、自家用普通・小型乗用車は対人賠償・対物賠償・人身傷害、軽四輪乗用車はそれに車両保険が加わります。

衝突被害軽減ブレーキ(AEB)の係数

この係数が適用されるのは「発売後約3年以内の型式」だけで、較差は約1.10倍。3年が経つと、AEBの効果は保険実績を通じてクラスのほうで評価されるようになるため、係数は適用されなくなります。

検算

較差1.10倍は、割引側から見ると 1 − 1 ÷ 1.10 = 0.0909、つまり約9%。機構が届出資料でASV割引を「9%を割り引くもの」と説明しているのと整合します。

記名被保険者の年齢層

26歳以上補償・個人契約の場合、記名被保険者の年齢層で8区分に分かれます。30歳未満/30歳以上40歳未満/40歳以上50歳未満/50歳以上60歳未満/60歳以上65歳未満/65歳以上70歳未満/70歳以上75歳未満/75歳以上。較差は約1.44倍(対人賠償責任保険の場合)です。60歳以上が5歳刻みなのは、保険料負担の公平性を向上させる観点からだと説明されています。

誕生日で区分をまたいだ年は、他の条件が同じでも保険料が動きます。これは事故歴とは無関係です。

等級はどう効くのか

等級(ノンフリート等級)は1〜20で、較差は約5.62倍。7〜20等級については、同じ等級でも「無事故」と「事故有」に分かれ、その最大較差は20等級で約1.32倍です。1〜6等級には無事故/事故有の区別がありません。新規契約は通常6等級から始まり、2台目以降で一定の条件を満たすと7等級から始まります。

3等級ダウン事故が1件あると何が起きるか、機構の説明例(18等級)で追います。

図3/3等級ダウン事故が1件あったときの等級の動き(機構の説明例・18等級)
事故の有無による等級の推移の比較 現在18等級の契約で、事故がなかった場合は1年後19等級、2年後20等級、3年後20等級、4年後20等級。3等級ダウン事故が1件あった場合は1年後15等級で事故有の残り3年、2年後16等級で残り2年、3年後17等級で残り1年、4年後18等級で無事故区分に戻る。3等級下がるうえ、3年間は同じ等級でも事故有の側が適用される。この例は上限の20等級に当たっているため4年後の差は2等級だが、上限に当たらない等級帯では差は3等級のまま残る。 現在18等級の契約だとして 1年後 2年後 3年後 4年後 ① 事故がなかった場合 19等級 20等級 20等級 20等級 ② 3等級ダウン事故が1件あった場合 15等級 16等級 17等級 18等級 事故有 3年 事故有 2年 事故有 1年 無事故 3等級下がるうえ、3年間は同じ等級でも 「事故有」の側の割増引率が適用される。 この例は上限20等級のため4年後の差は2等級。

損害保険料率算出機構『自動車保険の概況 2025年度版』の「ノンフリート等級の決定(一般的なケース)」および「無事故/事故有別に保険料を適用」の説明例(18等級)によります。上限の20等級に当たらない等級帯では、4年後の差は3等級のまま残ります。

3等級下がるだけでなく、3年間は同じ等級のなかでも「事故有」の側が適用されるのがポイントです。1等級ダウン事故(車両保険における火災、落下物との衝突の場合など)なら下がるのは1等級で、「事故有」の期間も1年間。人身傷害保険のみにかかる事故などは等級が下がらず1等級上がります。「事故有」を適用する期間の加算は最長6年です。

等級ごとの割増引率の早見表と、事故のあとの「使う・使わない」の損得計算は 車の保険、修理費いくらから使うべきか にあります。

乗り換えのとき、何が起きるのか

ここからが2つ目の論点です。

引き継がれるもの/決まり直すもの

車を替えても、過去の事故歴は消えないし、なかったことにもなりません。アクサ損害保険は車両入替について「車両入替前の等級がそのまま引き継がれます」「保険期間の途中で車両入替を行っても、等級ダウン事故がなければ次回更新時に1等級上がります」とし、事故有係数適用期間も引き継がれると説明しています。

一方で、車に付いている条件は新しい車のものに置き換わります。ここまで見たとおり、型式別料率クラス・初度登録(検査)後の経過期間・衝突被害軽減ブレーキの係数は、いずれも「その車の型式」で決まるからです。車両保険の保険金額も車ごとに決まります。

図4/車を替えたとき、引き継がれるものと決まり直すもの
車両入替で引き継がれるものと新しい車で決まり直すもの 同じ人が同じ保険会社で車だけ替えた場合、そのまま引き継がれるのは、ノンフリート等級と事故有係数適用期間、記名被保険者の年齢層、年齢条件と運転者限定。新しい車で決まり直すのは、用途・車種、型式別料率クラス、初度登録(検査)後の経過期間、衝突被害軽減ブレーキの係数、車両保険の保険金額と免責金額。契約期間の途中で替えた場合は、残りの保険期間ぶんの保険料の差額がこれとは別に発生し、追加になることも返還になることもある。 同じ人が、同じ保険会社で、車だけ替えた場合 そのまま引き継がれる(人に付いているもの) ノンフリート等級/事故有係数適用期間 記名被保険者の年齢層 年齢条件・運転者限定 新しい車で決まり直す(車に付いているもの) 用途・車種/型式別料率クラス 初度登録(検査)後の経過期間 衝突被害軽減ブレーキの係数 車両保険の保険金額・免責金額 ※クラスは補償内容ごとに4つある 契約期間の途中なら、これが別に出る 残りの保険期間ぶんの保険料の差額 追加になることも、返還になることもある

料率区分の枠組みは損害保険料率算出機構『自動車保険の概況 2025年度版』。等級・事故有係数適用期間の引き継ぎと差額精算の扱いはアクサ損害保険およびチューリッヒの公表内容によります。車両入替の条件・手続き期限・差額精算の方法は保険会社ごとに異なります。

各社で扱いが異なる部分

車両入替できる新しい車の所有者の範囲、手続きの期限、承認の条件は保険会社ごとに異なります。たとえばアクサ損害保険は個人契約について「現在ご契約のお車の所有者」「現在のご契約の主な運転者」「その配偶者」「同居の親族」のいずれかであることを条件としています。手続きの猶予期間についても、チューリッヒは「新しい車の取得から30日以内程度」を目安としつつ「保険会社によって異なる」と明記しています。加入先の約款とウェブサイトで確認してください。

契約期間の途中で替えると、精算が別に出る

見落とされやすいのはここです。保険期間の途中で車両入替をすると、残りの保険期間ぶんの保険料が新しい車の条件で計算し直され、差額の追加または返還が発生します。新しい車の保険料のほうが高ければ追加、安ければ返還です。

そのため、乗り換えのタイミングで提示される金額は、内訳を確認しないと何の期間の金額か分かりません。

  • 今の契約の残り期間ぶんの差額(追加または返還)
  • 次回更新分(新しい車の条件で計算した、次の1年ぶんなどの保険料)

この2つは別の期間の金額です。両方を足した「総額」と、新規に契約した場合の「次の1年ぶん」だけを並べると、当然ながら前者が大きく出ます。同じ期間のものを比べていないからです。

差額精算の方法も各社で異なります。一括払いなら追加分を都度支払う・返還分を口座で受け取る、分割払いなら残りの保険期間の月額で調整する、といった扱いが公表されていますが、細部は加入先に確認してください。

車を手放して、しばらく乗らないとき

すぐに次の車に替えない場合は、中断証明書という仕組みがあります。一定の条件のもとで発行を受けると、次に契約するときに等級を引き継げます。

ただし発行条件(中断時の等級、満期日からの期限、中断の理由、国内特則/海外特則の別など)と有効期間は保険会社によって異なります。この記事で条件を断定はしません。車を手放す前に、いま加入している保険会社に確認してください。手放したあとでは選べる幅が狭くなります。

見積が想定と違うとき、何を確認するか

金額の高い・安いを判断する前に、比べているものが揃っているかを先に確認します。

確認すること確かめ方
その金額は何の期間のものか「残り期間の差額」「次回更新分」「その合計」のどれかを内訳で確認する
型式別料率クラス新旧の型式で、対人・対物・人身傷害・車両保険の4つそれぞれを機構の検索で調べる
初度登録後の経過期間25か月以内/25か月超49か月以内/49か月超のどれをまたいだか
AEBの係数型式が「発売後約3年以内」から外れていないか(機構の検索で確認できる)
記名被保険者の年齢層8区分のどれかをまたぐ誕生日を挟んでいないか
車両保険の条件保険金額・免責金額が新旧で同じか。車両保険の有無で改定率も違う
保険始期加入先の料率改定の適用時期をまたいでいないか

これらを揃えたうえでまだ差が説明できないなら、内訳を出してもらうのが次の一手です。料率区分の考え方は機構が公開していますが、実際に適用される割増引率も付加保険料率も各保険会社が決めているので、最終的な答えを持っているのは加入先です。

まとめ

  • 保険料は等級だけで決まらない。参考純率の料率区分は7つあり、較差は等級 約5.62倍/型式別料率クラス(自家用普通・小型)約4.30倍/運転者の年齢範囲 約3.00倍
  • 損保料率機構は2026年6月23日、参考純率の平均14.4%引上げを届け出た(2027年1月以降の保険始期を想定)。前回2024年6月は平均5.7%
  • 契約例の改定率は自家用普通・小型乗用車+17.2%、自家用軽四輪乗用車+17.5%(いずれも車両保険を含むセット契約)
  • 理由は事故の増加ではない。事故率は緩やかに減少する一方、対物賠償の1件あたり修理費は336→386千円(2022→2024年度・約14.9%増)。寄与は工賃単価40%程度・物価と高性能部品35%程度・代車料等25%程度
  • 型式別料率クラスは毎年1月に見直される。機構自身が「ご自身は事故を起こしていなくても保険料が高くなるケースがあります」と明記している
  • 軽四輪乗用車のクラスは2025年1月1日以降、3→7クラスに拡大(較差 約1.20倍→約1.73倍)
  • 初度登録(検査)後の経過期間(25か月・49か月)とAEBの係数(発売後約3年以内)は、事故がなくても時間で外れる
  • 乗り換えでは等級と事故有係数適用期間は引き継がれ、型式別料率クラス・経過期間・AEB係数・車両保険の保険金額は新しい車で決まり直す
  • 契約期間の途中で替えると、残り期間ぶんの差額精算が次回更新分とは別に発生する。「総額」と「次の1年ぶん」は同じ期間の金額ではない
  • 車両入替の条件・手続き期限・差額精算の方法・中断証明書の発行条件は、いずれも保険会社ごとに異なる

保険料の更新額と、そのときの等級・車両保険の保険金額を年ごとに残しておくと、次に見積を見たときに「どこが動いたのか」を自分の実額で突き合わせられます。

出典

  1. 損害保険料率算出機構「【自動車保険】参考純率届出のご案内(2026年6月23日金融庁長官への届出)」
  2. 損害保険料率算出機構「自動車保険参考純率 改定のご案内(2024年6月24日金融庁長官への届出)」
  3. 損害保険料率算出機構「自動車保険参考純率 改定のご案内(軽四輪乗用車の型式別料率クラス拡大)」
  4. 損害保険料率算出機構『自動車保険の概況 2025年度版』(2026年4月発行)
  5. 損害保険料率算出機構「自動車保険参考純率」
  6. 損害保険料率算出機構「型式別料率クラス検索」
  7. アクサ損害保険「お車を買い替える場合(車両入替の手続きのタイミング・注意点について)」
  8. チューリッヒ「自動車保険の車両入替。切り替えタイミングは何日前?」