あなたの車の修理代がいくらになるかの判断はしません。車種・入れた量・走った距離で大きく変わり、決めるのは車を見た整備工場です。ハイオクとレギュラーの取り違えは、エンジンの故障にはつながりにくいため、短く触れるだけにします。
軽油を入れてしまったと気づいたら、まずやること
JAFは、入れ間違えたときの対処を「エンジンを始動しないでください。電源もONにしないでください」としています。燃料を抜いて入れ替える作業は、整備工場で行います。
- エンジンをかけない。電源(イグニッション)も入れない。燃料がエンジンへ送られる前なら、作業は燃料の入れ替えで済みます。
- スタンドのスタッフに伝える。セルフ式でも同じです。給油機の前から車をどう動かすかは、スタッフの指示に従ってください。
- JAFか、自動車保険に付いているロードサービスに連絡する。エンジンをかけずに、整備工場まで運んでもらう必要があります。
- 入れた燃料の種類と、だいたいの量を伝える。レシートがあれば手元に残しておきます。
走っている途中で気づいた場合
JAFの隊員によると、給油したその場で気づくことは少なく、走っている途中でエンジンが止まってから気づくことが多いそうです。加速が鈍い、排気ガスが黒い・白い、エンジン音がいつもと違う、といった変化が給油の直後に出たら、入れ間違いを疑ってください。
安全な場所に止めてエンジンを切り、かけ直して走り続けようとしないことです。JAFによると、エンジンをかけてしまった場合は、燃料の入れ替えに加えて燃料フィルターの交換や燃料配管の洗浄などが必要になります。かけ直して走れば、間違った燃料はさらに燃料系の奥へ回ります。
ガソリン車に軽油を入れたらどうなる?ディーゼル車にガソリンの場合は
どちら向きに間違えたかで、起きることが違います。JAFの説明を整理すると次のとおりです。
ガソリン車に軽油を入れた場合
軽油の混ざったガソリンは燃えにくいので、エンジンの力が落ちて加速が鈍くなります。軽油の割合が高くなると黒い排気ガスが出るようになり、やがてエンジンが止まります。
ディーゼル車にガソリンを入れた場合
すぐに力がなくなり、エンジン音が高くなって、排気ガスが白くなり、やはりエンジンが止まります。こちらのほうが厄介なのは、軽油がディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプやノズルの潤滑も担っているためです。ガソリンでは潤滑ができないので、燃料噴射ポンプやノズルの交換が必要になる場合があるとJAFは説明しています。
「少量なら大丈夫」なのか
少量でも大丈夫とは言えません。この記事で参照したJAFの資料・消防庁の通知・整備の記事のどれにも、「この量までなら混ざっても平気」という目安は書かれていません。JAFが示しているのは、エンジンをかける前に正しい燃料へ入れ替えれば大きな問題はない、という一点です。少しだけ入れてすぐ気づいた場合も、そのまま走らずに、整備工場かJAFに相談してください。
ハイオクとレギュラーを間違えた場合
JAFは、ハイオク車にレギュラー、レギュラー車にハイオクを入れても、一般的にはエンジンは故障しないとしています。ハイオク車にレギュラーを入れたときは、ノッキング(異常燃焼)が起きやすくなるため、急加速など高負荷の運転を控えるよう案内しています。
修理代の目安:エンジンをかけたかどうかで変わる
先に書いておくと、JAFの資料には修理代の金額は示されていません。ここで出す金額は、自動車情報誌と自動車販売・整備会社の記事に載った例です。はっきり言えるのは、作業の範囲が「エンジンをかけたか」で広がることです。
作業の範囲はJAFの説明による。金額は、はなまるカーライフ(中間ダイハツ販売整備・2025年9月。10万円以内・20〜30万円)とベストカーWeb(2021年2月21日。5万円以内・十数万円・30万円・50万円超)に載った例で、いまの価格とは違う場合がある。
2つの記事で金額に幅があるのは、洗浄で済んだか、プラグの交換やシリンダーヘッドのオーバーホールまで進んだかの違いです。ベストカーの例は2021年時点のもので、いまの価格とは違う場合があります。目安として見るなら、次の2点です。
- エンジンをかける前に止められれば、作業は燃料の抜き替えとタンクの洗浄で済む
- かけてしまった場合、ガソリン車に軽油なら燃料系の洗浄が中心、ディーゼル車にガソリンなら燃料噴射ポンプやノズルの交換まで広がることがある
見積りをもらったら、「燃料の抜き替え・洗浄」と「交換する部品」を分けて書いてもらうと、どこに費用がかかっているかが分かります。
車両保険・ロードサービスは使える?
車両保険で修理代が出るか
保険会社と契約のタイプで分かれます。入れ間違いを「故障」として扱い、車両保険の対象外とする会社があります。一方で、補償の範囲が広いタイプの車両保険なら対象になりうるとする会社もあります。自動車の販売・整備会社が保険会社5社の扱いを調べた記事でも、答えは分かれていました。
自分の契約でどうなるかは、約款を見るか、保険会社の窓口に聞いてください。なお、車両保険を使うと等級が下がり、翌年から保険料が上がります。修理代と比べてどちらが得かは、車の保険、修理費いくらから使うべきかで計算の仕方を扱っています。
JAF・保険のロードサービス
JAFの会員なら、故障でのけん引・搬送などのロードサービスを無料で受けられます。ただし無料のけん引は20kmまでで、燃料などの代金は実費です。会員でない場合は作業そのものが有料です。
自動車保険に付いているロードサービスでも、レッカーでの搬送を頼めることがあります。入れ間違いのときにどこまで対応するかは契約によるので、電話で「燃料を入れ間違えた」と伝えて確認してください。
「軽自動車に軽油」は間違い:入れ間違いを防ぐ確認
JAFが2022年10月の1か月間に出動した燃料の入れ間違いは105件でした。状況が分かった96件のうち、ガソリン車に軽油が57件、ディーゼル車にガソリンが39件です。現場で聞き取った理由には、「軽自動車なので軽油を入れた」「レンタカーを借りて普段の車両と違ったため」がありました。
軽油の「軽」は、軽自動車の「軽」ではありません。JAFは、軽油は軽自動車用の燃料ではなく、ディーゼルエンジン用の燃料で、車の大きさと燃料の種類には直接の関係はないと説明しています。
給油の前に確かめること
- 給油口のあたりの表示を見る。給油口を開けると燃料の種類が書かれていることが多い、とJAFの隊員は話しています
- 表示がない車もまれにあり、同じ車種にガソリン車とディーゼル車の両方がある場合もあります。レンタカー・代車・家族の車など、ふだん乗らない車は車検証か取扱説明書で確かめる
- セルフ式では、ノズルの色を見る
| 燃料 | セルフ式での色 |
|---|---|
| レギュラー | 赤 |
| ハイオク | 黄 |
| 軽油 | 緑 |
出典:消防庁「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所に係る運用について」(消防危第25号)。ノズルカバーなどに色を付ける場合の色として定められている。プレミアム軽油は黄緑。
同じ消防庁の通知は、セルフ式の給油機に、ガソリンと軽油の入れ間違いを防ぐ仕組み(タンクの中の蒸気から燃料の種類を見分けて、合わなければ給油が始まらない装置など)を求めています。とはいえ、JAFの2022年10月の集計では、入れ間違いの救援が1か月で105件ありました。仕組みに任せきりにせず、ノズルを取る前に一度だけ確かめてください。
まとめ
- 入れ間違いに気づいたら、エンジンをかけない・電源も入れない。スタンドのスタッフとJAFかロードサービスに連絡する
- エンジンをかける前なら、燃料の抜き替えとタンクの洗浄で済む
- かけてしまうと、ガソリン車に軽油は燃料系の洗浄が中心(数万円〜20〜30万円程度の例)、ディーゼル車にガソリンは燃料噴射ポンプやノズルの交換まで広がることがある(フルオーバーホールで30万円程度の例)
- 「少量なら平気」と言える目安は、参照した資料のどれにもない
- 車両保険で出るかは保険会社と契約で分かれる。約款か窓口で確かめる
- 軽油は軽自動車用ではなくディーゼル用。ふだん乗らない車は、給油口の表示か車検証で燃料の種類を確かめる
修理になったときは、いつ・どこで・何を・いくらで直したかを残しておくと、保険会社とのやり取りや、次に車を手放すときの説明に使えます。
出典
- JAF「燃料を入れ間違えた場合の対処方法」
- JAF クルマ何でも質問箱「間違った燃料を給油した場合に起こるトラブルとは?」
- JAF「「軽自動車には軽油?」要注意! 燃料の入れ間違い、1カ月で100件越え!」(2022年12月26日)
- JAF Mate Online「軽自動車に軽油はNG! ガソリン・軽油の入れ間違い防止策をJAFが解説」(2026年3月30日)
- JAF クルマ何でも質問箱「セルフスタンドでの給油の注意点について」
- 消防庁「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所に係る運用について」(消防危第25号・平成10年3月13日)
- ベストカーWeb「誤給油はなぜ減らない? ガソリン車に軽油を入れるとどうなる?」(2021年2月21日)
- はなまるカーライフ(中間ダイハツ販売整備)「ガソリン入れ間違えは車両保険の対象になる?修理費用・保険適用・等級影響を徹底解説」(2025年9月)
